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2019.10.17コラム

リーマンショック後の金融サービスの変化

リーマンショック前とリーマンショック後では、金融サービスは大きく変化しました。
その根底には、金融機関に対する一定の不信感があり、それが原因となって、金融機関以外の企業や新興企業が金融サービスを提供するようになりました。この記事では、そんなリーマン・ショック後の金融サービスの変化について、今後の金融サービスの展望も合わせてわかりやすく解説していきます。

リーマンショック後の金融サービス

所得が高くない人に住宅ローンを貸し付ける「サブプライムローン」によって起こったリーマンショックは、その後の金融サービスを根本から変えるほど大きなインパクトを持ったものでした。米国の金融機関は、政府から資本の提供を受けなければならないほど疲弊し、ローンを返しきれない人が続出したため、無理やり消費者から資産を取り上げました。その結果、人々は、金融機関を信頼しなくなりました。

そうした環境のなかで、新しい金融サービスを提供する会社が多数現れました。たとえば、Googleのようなネット企業が新しい金融サービスとしてインターネット決済サービスを提供するようになり、インターネットを使えば、銀行を仲介せずに、預金をしたり、お金を貸し借りしたり、決済したりすることができるようになったのです。その結果、特に、銀行が提供していた定型化された幅広いサービスを提供するというリテール金融サービスの利用者は少なくなり、むしろ、金融機関以外が提供する様々な金融サービスを利用するようになりました。その代表的なものが、仮想通貨やバーコード決済など革新的な金融サービスです。

これからの新しい金融サービス

こうした現在の金融サービスの動向を踏まえた場合、10年後、金融サービスはどのように変化していると考えられるでしょうか?まず、今後、確実にデジタル化が進行することが予想されます。金融サービスのデジタル化はほぼ確実な流れと言えるでしょう。2019年現在において、まだまだ電子マネーなどの決済手段は普及しているとは言い難い状況であるものの、今後、キャッシュレスの時代を迎えるにあたっては、消費者の購買活動・資金調達活動・決済行為がシームレスに結びついた時代がやってきます。

そうなれば、現在は、定型化された商品・サービスを幅広く提供するというリテール金融の主要サービスである預金・決済・融資については、金融業界に限らず、他の業界からの新規算入も増え、業界の垣根を越えた激しい競争環境に置かれると考えられます。

消費者は、日頃よく利用する小売店などにおいて、高い利便性(いつでもどこでも使えるという利便性)があり、購買活動にメリットがある決済手段を用いるようになります。

スマホ一つあれば、資金も調達でき、購買活動も行え、決済もできる。そんな金融サービスの展開が望まれるようになります。資金調達活動・購買活動・決済行為がシームレスに結びついていない金融サービスは、言わば時代遅れのものとなっていきます。

こうなれば、従来は重要視されてきた、金融機関に対する消費者の信頼性やブランド力などはほとんど重視されません。なぜなら、各金融機関に対する信頼性やブランド力は、資金調達活動・購買活動・決済行為のいずれの支えともならないからです。

むしろ、今後は、いかに利便性が高く、スピード感のある金融サービスを提供できるかが重要となると考えられるでしょう。